CarSim/TruckSim をご利用頂いているユーザー様、これからご利用いただく方々を対象に実務者向け車両運動制御を学ぶトレーニング講座を開催します。日本の自動車業界では、中堅技術者の教育が OJT で行われているのが一般的で、従来より数学的な理論に留まらず実務遂行を目的としたコースが必要と考えていました。
本講座で取り上げる Rajesh Rajamani博士の書は、交通流全体を捉え、各システムへコマンドを発信し、更にその先のデバイスを動かす仕組みを説明しています。従来の自動車技術の発想の枠を広げ、車両運動制御を自車両を取り巻く状況も含んで包括的にとらえる事が出来る書です。また、日本人にはハードルが高いと言われる英語の書を日本人講師の解説により学習します。
以下の3分野の方々は、是非この機会をご利用下さい。
■受講対象
(1) 車両設計・開発を業務とする技術者
(2) 車両設計・開発・試験部門のマネジャー
(3) 走行中の自車両を周辺環境の一つとして理解する必要がある技術者
従来は運転者が車両を取り巻く状況を見て、コンポーネントごとに独立した操作を行ってきました。車両運動制御は、状況判断も含めて各コンポーネントへの指示を行い、運転者の負担を減らす事で安全性と快適さを得る事ができます。その結果、車両運動制御は周辺環境を認識し、自分がどう動くべきか考え、各システムにどう指示を出すか、そして各システムはデバイスをどう制御するかを階層的に考慮すべきと考えています。本講座は「車両運動制御」の階層構造をイメージする事で以下の成果が得られます。
車両運動制御の 全体像の理解 |
車両の状況毎の 最適な 運動制御の選択 |
交通渋滞が発生する 原理と対処法の理解 |
次世代に向けた 予防安全技術の理解 |
自律走行に結びつく 技術への発想の転換 |
■教科書
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Vehicle Dynamics and Control, Rajesh Rajamani 著Springer 出版 , 2012. ISBN 978-1-4614-1432-2 |
■著者略歴:Rajesh Rajamani博士
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著者略歴:Rajesh Rajamani博士 ミネソタ大学機械工学科教授、1989年IIT (インド工科大学) 卒業、1991年カリフォルニア大学バークレー校の修士号、1993年同 PhD取得。ASME (米国機械学会) フェロー、IEEE (国際電気電子通信学会) Automotive Control 部門のチェアを務める。2001年、SAE (米国自動車技術者協会) Ralph Teetor 賞受賞。研究分野は、車両運動力学、ITS (高度道路交通システム)、マイクロセンサ技術、制御系設計。 |
■講義のハイライト
● 車線維持制御 (Lane Keeping Control)
・横方向車両運動
・カリフォルニア州PATHプロジェクト
・クロソイド曲線道路
・横位置誤差とヨーレート誤差
・前方注視センサの補償設計
● サスペンション制御 (Suspension Control)
・パッシブ・サスペンション
・フルアクティブ・サスペンション制御
・セミアクティブ・サスペンション制御
・サスペンションの不変点特性
・スカイ・フック減衰
● 隊列走行制御 (Control for Platooning)
・前後方向車両運動と車両制御
・アダプティブ・クルーズ制御
・ストリング・スタビリティ
・クルーズ制御の階層構造
・車間距離制御と車間時間遅れ制御
● 予防安全制御 (Predictive Safety Control)
・差動ブレーキによるスタビリティ制御
・ステア・バイ・ワイヤによるスタビリティ制御
・アクティブ・トルク配分によるスタビリティ制御
・ロール運動力学と横転指数 (Rollover Index)
・横転回避走行制御
■講義の進め方
・講師による理論解説と、各テーマに関する受講者による議論
・関連技術文献の紹介と解説
・自学習として技術文献に関する各自の意見発表
教材は「Vehicle Dynamics and Control」を主に使用しますが、講義は日本語で行い補助資料も日本語で用意します。
※「Vehicle Dynamics and Control」(Rajesh Rajamani 著)は各自でご用意ください。斡旋販売も承ります。
■修了書の発行
4回すべての講義に参加し、講義内容が習得できたと認められた場合、修了書をお渡しします。 車両運動制御のプロとして自信を持って業務を遂行していただき、後輩達への道しるべとなって下さい。
■スケジュール
2018年6月22日(金) | 序論(第1章) 横方向車両動力学(第2章) レーンキーピング制御(第3章) |
2018年8月3日(金) | 前後方向運動と制御(第4章) クルーズ制御(第5章) アダプティブ・クルーズ制御(第6章) 隊列走行制御(第7章) |
2018年9月28日(金) | パッシブ・サス(第10章) アクティブ・サス制御(第11章) セミアクティブ・サス制御(第12章) |
2018年11月16日(金) | ABS(第5章) ESP/ESC電子制御 (第8章) 横転防止制御 (第15章) |
■時間スケジュール
第 1 セッション:10:30〜12:00
第 2 セッション:13:00〜14:30
第 3 セッション:14:45〜16:15
第 4 セッション:16:30〜18:00
■開催場所
株式会社バーチャルメカニクス本社 セミナールーム

■講師陣
中村 幸夫(Sachio Nakamura)
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神戸大学電気工学科 学士・修士。 アイオワ大学(米国) 機械工学科 修士・博士。同大学で、NADS の初期 DADS プログラム開発に従事。 職歴:リハビリ病院生体工学科研究員、New Jersey Institute of Technology 機械工学科助教授、NSF の Young Faculty Award を受賞し、博士課程学生 4 名・修士課程学生 16 名を指導、AT&T Bell Laboratory システムエンジニア、横浜ゴム株式会社車両工学研究室・室長、 バーチャルメカニクス技術顧問。 SAE (米国自動車技術者協会) の車両運動力学関係のセミナーを 3 講座受講して、日本語版講義の必要性を痛感する。 |
講師からのメッセージ
本講座は制御技術者では無く、制御技術の枠組みを利用する自動車技術者を目指すステップとして開講致しました。
最近の自動車と制御の組み合わせのトピックスにマッチしているRajamani博士の書を使用し、さらに日本語の制御入門書を含む以下の副読書を引用し、解説しながら制御理論への理解を深めて頂きます。講義の中で最適制御についても理解して頂くことで自動化高速道路やITS等のパラダイムシフト(考え方の劇的な変化)へスムーズに入っていけることでしょう。
さぁ、自律走行の時代に向けて準備をしていきましょう。
【教科書と副読書】
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【教科書】 「自動車業界で車両制御開発を目指す技術者」と「制御系に興味を持つ大学院生」の為の自習書。自動車技術の制御理論の「興味深い応用事例」を集めた書で、英語圏では「難解な内容を単純明快にまとめた書」との評判が高い。 |
【副読書】 Automotive Control Systems, |
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【副読書】 Feedback Control of Dynamic Systems |
【副読書】 MATLABによる制御系設計 |
■受講料とその他ご案内
受講料
CarSim/TruckSim/BikeSim保守ユーザー様特別価格:20万円(税別/保守契約1ライセンス1名様の適用)
一般参加価格:30万円(税別)
※1 日のみの受講も受け付けております。
1講座(1日) 保守ユーザー様特別価格:6万円(税別)、一般参加価格:9万円(税別)
※受講料に書籍「Vehicle Dynamics and Control」代金は含まれておりません。
斡旋販売も承っております。販売価格:1冊 24,000円(税別)
・定員12名(最少開催人数3 名)
・通期でお申込の場合、講座期間中の受講者の変更は認められません。
・通期で受講の場合、4月中旬に請求書をお送りします。5月末までに銀行振り込みにてお支払いください。1日のみの受講の場合、受講日当日に請求書をお渡し致します。受講月の翌月末までに銀行振り込みにてお支払いください。振込手数料は受講者にてご負担ください。
・お申込みを取り消される場合には、必ずご連絡ください。その際、当社規定に準じてキャンセル料が発生致します。
・交通費、宿泊費は含まれておりません。
・内容は予告なく変更する場合がございます。ご了承ください。
・実務者向けの講座になっております。教育関係者、学生の参加はご遠慮ください。
・著作権はバーチャルメカニクスに帰属しています。
お問い合わせはメールにて承ります。
E-mail: sales@vmc.jp 担当:御園生(みそのう)